2012/06/03

『この大空に、翼をひろげて』 小鳥ルート 感想

気がついたら6月である。初夏ですね。初夏といったら初恋ですね。衣替えした女の子のわきとかに興奮する季節ですね。よかったですねおめでとう。俺はまいにちおっさんでんしゃの汗の香りでげんなりしています。

愚痴はこの辺にしておいて、『この大空に、翼をひろげて』の感想です。とりあえず初めに全体としての感想ですが、なんというか「てんこもり」でしたね。小鳥、あげは、天音先輩、双子ちゃんのそれぞれが別のメニューとして出てくる。モーニンググローリーを飛ぶ、という目的が全ルートで一致しているのだけれど、物語の軸が違っているので飽きない。

モーニンググローリーを飛ぶといっても、キャラクターによってそこに置かれる重点は違うんですよね。これはキャラ名にも表現されていますが、小鳥であれば「飛ぶ」ということ、天音先輩であれば「至った先の風景そのもの」、あげはは「飛ばす」ということです。あさちゃんよるちゃんは…朝と夜でかわりばんこ…?

ルートで言っても、小鳥ルートのなんだこの甘酸っぱい小鳥おひめさまかわいいだとか、あげはのメスっぷりとか、天音先輩ルートはまあメインっぽいので体験版段階で予想された(cf. 体験版感想 http://sagaslave.blogspot.jp/2012/04/blog-post.html)ものを提供してくれました。双子ちゃんは…おしっこ…?

といった感じで満腹感があるんですが、俺が一番好きなのは小鳥ルートです。天音先輩ルートも好きですが、集合写真の表情が惜しい。1年前との表情の違いがあれば…!と思ってしまいます。小鳥ルートは、不満もいくつかあるんですが、これはっていう場面がすごく多い。特にルート入った直後から付き合い初めまではほんとすばらしい。

まずは何といっても、今作全体でのベストシーンであるところの、二人乗りです。夏に、湖が見える道を、気になってる女の子を後ろに乗せて、二人乗りです。ここの描写が実に丁寧。いいですか、気になる女の子が後ろにのっているわけです。しかも夏。とうぜん緊張とドキドキで汗をかくわけです。で、そこで、小鳥がその背中に頭を乗せて「汗かいてる…」って言う。くっ!そんでね、小鳥がね、頬を背中にくっつける。はいもう背中の小鳥と触れ合ってる部分に全神経が集中されましたね。ドキドキするし、触れ合っているところは二人分の熱でより暑くなっている。くっついてるからますます汗をかく。ほんとなんなのもう。羨ましいよくそったれ!!!しかもここでの小鳥のちょっと甘えた感じ。主人公が「なあ、小鳥」って呼びかけたときの返事が「んぅ?」ですよ。顔が背中にくっついてるからちょっとくぐもった声で。しかも最後にゃ頭を背中に擦りつけやがってからに!!!

あーもーほんと羨ましすぎてしねばいいのにと思いつつ、喜色満面でプレイするというね… はあ…

この二人乗りシーンで主人公が小鳥のことを好きだと実感する、ってのは非常にいいですね。そりゃそうだよねー、と納得できます。単に俺がここで小鳥が好きになっただけだとも言う。

告白シーンも良かったっすね。いっしょに飛んで大空での告白とか、ベタすぎるけどそれがいい。つーかそれよりもこの告白シーンで重要なのは、小鳥が先に自分のわがままさを主人公に知ってほしい、と伝えたところです。主人公には自分のわがままさを知っていてほしい。主人公には自分をかまってほしい。踏み込んできてほしい。この甘え。それに対する返事としての主人公の告白。

女の子はおひめさまなんですよ!(真顔)

小鳥はほんとおひめさまかわいい。おひめさまといったらおねだりと相場が決まっていますが、キスシーンも良かった。主人公からキスされて、「(自分がどれだけ小鳥のこと好きか)これでわかっただろう?」と聞かれて、
「……ううん、わかんない」
「だから、もっと……」
くっそっ!あざとい。だからこそかわいい!!!…はあ。小鳥のおねだりを聞いてエサを運ぶお仕事がしたいなあ…。こんな気持ちになるのは、「少しずつ」おねだりのランクを上げていくからだと思います。主人公はここまでやってくれた。嬉しい。じゃあこれは大丈夫かな?というやつです。そんなんされたら何でもするよねえ。しゃーないっすよ。敵わないもん。

こんな初恋がしたかった。

要するに、小鳥ルートが好きなのは、そういうことなんだろうなあ。気がついてたら惚れてて、夢中になってて、その子のためなら何でもしてしまうような。自分がやったことに対して、正直に(上手に、ではないです)喜んでくれるような、そんな女の子。いつまでないもんねだりしてんだっつー話ですが、こんなもん見せられたらどうしても思ってしまいますなー


後半部分については、ファーストプレイのときはかなりもやもやしながらプレイしてました。小鳥が受け取るばかりではないか?と。身障者用シートだとか、小鳥が願う前に主人公たちによって用意されてしまった。小鳥が引き離されたとき、主人公たちが用意して待っていた。もちろん、こういったものは、小鳥がそれまでどんな思いで、どんな態度でグライダーやソアリング部とかかわってきたのか、主人公たちが良く知っていたからではあるんですが。

ただ、これについては、モーニンググローリーを飛ぶシーンで解消されました。あのシーンで主張されていたのは、「ひとりで飛べないことが、飛ぶことの素晴らしさを減じたりはしない」ということだから。風の助けがなければ空を飛べないからといって、その素晴らしさが失われるわけではないのと同じように。それを、モーニンググローリーを飛ぶことで、そこにある圧倒的な光景をもって、小鳥が実感した。彼女の足との関連については、言うまでもないですかね。綺麗にまとまってるなーと。

いい作品でした。

ことりちゃん、びゅーちー!ボタンを押すお仕事の時間なのでこのへんで。めざせ300万びゅーちー?