2015/02/22

なんか呆然としている。アニマスをここに来て初めてそれなりに真面目に見たわけですが後半の春香さんの話なんなんだあれ。

春香さんが765プロダクションの「みんなで」ってのを求めるのはわからないわけではない。少なくとも理由は十分に撒かれているので。例えば貴音さんが移籍するかもってところで1人だけガチな反応(自失しているようにすら見える)だったり、クリスマスパーティーなんかもそうだよね。各人がアイドルとして売れ始めて忙しい中でも、クリスマスパーティーにみんな集まることに成功してしまったことだとか。台所から春香さんが見た光景は確かに貴重なものに見える。また同時に、千早やプロデューサーが春香さんが「みんな」を志向することを肯定する台詞があったりもする。だから、春香さんがそれを美希の言う通り「わがままに」求めることもまあいい。

いや実は良くないんだが。春香さんがメールを他のメンバーに送ってたり、全体練習に集まろうよ!と声を掛けてそれに応えられないメンバーが「ごめん」と言うたびにフラストレーション自体は溜まっていた。だって謝る必要などないから。あくまでこの段階では春香の一方的な欲望でしかない(伝わってもいない)もので相手に罪悪感を抱かせるのはおかしいんじゃねーのと。もう1点。春香の「みんなで」は全体練習に集まることを必要とさせるが、これがわからない。例えば、雑誌に映る他のメンバーの姿や、CMの映像とか。街頭のパネルでもいいし、ラジオでもなんでもいいんだが、その姿を見るだけでは何でダメなのかがわからない。「みんなで」と言うのは、同じ場所にいることを要求するの?

ただまあ春香さんは自分のわがままさとの間で葛藤はしている。千早がレコーディングに行くのは肯定していたり。葛藤っつーかあの段階では自分でも良くわかっていなかった。だから美希に春香はどうしたいのか?と問われたときに「どうしたかったんだっけ」と言って自分でもわけのわからない涙を流す。これは強烈だった。肌から浮いた涙。

怖いのはその後です。春香さんが答を見つけて、それが肯定されて765プロという「みんな」が肯定されて終わるまで。まず、春香さんが「どうしたかったんだっけ」となる場面がプロデューサーが怪我で不在になった直後だということを前提とする。そして春香さんが立ち直るときに必要としたのは結局のところ過去の自分の夢にある「アイドル」としての自分であるということ。765プロの「みんな」から街頭パネルでメッセージを受け取るのはあくまで春香さんが「天海春香」というアイドルに出会って走りだした後だ。Pの言葉なり他のメンバーの幻影なりはあるが、あれは過去に見た光景であり、それは俺にはまとわりつくものにしか見えない。天海春香は不在の中で走りだした。

「だから」(理解はできる)、天海春香の「みんなで」が765プロを包むものになったことで天海春香自体をぶち壊したいとは思わない。ただ、そこから最も走り抜けてしまいそうな美希すらも迷わせたことには気持ち悪さしか感じることができない。これは歪ですよ。特にプロデューサーを不在にしたのは悪意すら忖度してしまう。

最終話でプロデューサーが戻ってきて、会場の声援に包まれながら"アイドルの完成形"が描かれる。うすら寒い思いをしながら目が離せなかった。呪いという言葉は使いたくなかったが、やっぱり無理。俺にはこれは純粋な呪いにしか見えない。