2018/07/23

Summer Pockets 感想

気が向いたのでサマポケの感想。

とりあえずネタバレ前に(体験版)プレイ前に得てた事前情報について触れておくと、麻枝准がえらい人で新島夕とかが書いてて夏で島で色素薄そうなヒロインの後ろ姿がキービジュアルでよし買うかといったところでした。

で、CLANNAD以降やってないしいまだに真琴ルートのテキストの印象が最大値な麻枝准は置いておいて、新島夕に関して言えば、恋カケに対する唯一の不満、ラストシーンでの(目を閉じた状態での)期待に持っていくまでにglorious daysを要求した件に対する不満がまだ残っている状態でのプレイ開始でした。

そんで体験版やって、あーこれは『へじゃぷ』の話なんだろうなと。この段階では『へじゃぷ』は恐らくデジャブ(=見たことある気がする)に対して、いつか見る気がする、なんじゃないかという妄想です。恋カケじゃねーか。はい。

ほんじゃ以下ネタバレ込みで。












個別ですが、鴎ルートはアナル*マーク前に書いた意味で姫野さんと同じことやってるようにしか見えなかったです。紬ルートは灯台の中で迷う(照らす側)というのに決断主義が思い浮かんでしまって集中できなかったので俺の脳が悪かった感じ。蒼さんルートはわりと好み。しろはルートは、夏休みとしてイベントが並んでいて、これはおそらくALKA(うみちゃん)との対比ではあったのだろうけど、イベントの並んでいなかった自分の小学生のころの記憶とかがつらつら浮かんでしまってあんまり集中してなかった記憶があります。総じて言うと、個別4ルートについて言えば、あまり楽しめませんでした。

このゲームでもっとも興味深かったのはALKA編からPocketのしろはの後ろ姿が映ったCG(発表時に出たあの絵です)までで、けっこう変わったことをやっている。ALKAではうみちゃんがチャーハン作らなくてさみしい状態からスタートして、チャーハン作れるうみちゃんとかがフラッシュバックされたりしながら話が進む。しろはの未来視の話とうみちゃんが過去に戻れる話だとかが展開しながらうみちゃんが過去から未来へと進む時系列から見ると幼児退行していく。

そして、鳥白島という場所、Summer Pocketsというタイトル(ポケットは出し入れを持つ特異点※厳密な意味ではない)、過去だけではなく未来の記憶も持つ蝶がふわふわと浮いている状況が過去と未来を前後不覚にふわふわとさせる。この段階ではまだ、『へじゃぷ』は未来に対する既視感(「未来の思い出」というワードは明示的に出てくる)という意味しかないものだという認識でした。花火のシーンでうみちゃんのいるべき隙間が「あったもの」と同時に未来に埋められるであろう隙間であるように。

そういえばうみちゃんの幼児退行は全く涙腺には来ませんでした(そもそもこのゲームで泣いてはいない。おにギュでは泣いた。こはくかわいい…)が、これは既に俺の中で過去未来の方角は意味を持っていなかったからです。折り紙でうみちゃんが「できた……?」ってしろはの方を見て笑う絵やテキストが独立して十分な強度を持っているにもかかわらず。

そんなこんなしてるうちにちっちゃいこしかいない(かわいい)Pocket編に入るわけですが、ここで「未来の思い出」として映るいろいろなシーンが面白い。見たことのあるシーンだけではなく、見たことがないシーンも、見たことがある気がするシーンも映しだされる。テキスト差分でですね。

ナイーブに言えば「未来の思い出」であって、未来がある程度の不定性を孕んでいるということになる。一方で、未来の思い出も含んだものが鳥白島には雑多に蝶という形状でふわふわと置かれている。整理する前の蔵のように。つまり、鳥白島というポケットは出し入れの区別なく何かを溜めておく場所として配置されている。生まれるかもしれないものと生まれなかったかもしれないものが区別なく。

これがある種の人間に対する慰撫なのか、アイディアしかない物語を意味しているのかはゲスパーが過ぎるのでしりませんが、glorious daysをこの島が前提としているという情報を少なくとも俺は受け取らなかった。だから、「未来の思い出」の中に見たことのないとても綺麗な1枚絵が映ったときはめっちゃ笑いました。ここでか!と。

逆にそこから先の蔵の整理→物語としての締めは、少し残念だったというのが正直なところですが、物語らずにはいられないと言うのであればまあそれはそれでという気持ちもあります。

こんなとこか。おし*まい。