2012/09/06

おじさん大好き!

一年半遅れながらタイバニ全話見終わりましたのでその感想。

面白かった!って素直に言えるのは最終回のおかげかな。俺は1話から25話までずーっと虎徹というおじさんのお話として観たんですけど、この見方だと14話以降、後半部分はかなり不快になる場面が多かった。それまで高品質なもの、丁寧なものを観せてくれた作り手への信頼みたいな、ある意味不純な意識がなければ観るのをやめてしまっていたであろうほどに、です。

で、きっとこの先にあるであろうカタルシスなるものを頭の片隅に置いてそれにずっと引っ張られて観て来たわけですけど、最終回のあれはカタルシスと言っても「よっしゃー!」ってのではないですよね。「あーほんと良かった…」って感じです。ほっとした。おじさんが活き活きとしてるのを見るのが嬉しかった。

まあ要するにおじさんが大好きになってしまったわけです(字面が嫌すぎる)。今1話からの自分の感想を見返しながら書いてるんですけど、1話の段階ですでにおじさんにハマりはじめていたらしい。これは「ヒーロー」としてじゃなく「とあるおじさん」としての造形が早い段階で、しかもすごく納得できる形で提示されたおかげだろうと思います。

そんであと、これ意図的なのかどうなのか微妙ですけど、俺が早い段階からおじさんのことばっかり考えるようになった(字面…)原因のひとつが、ヒーローの仮面。元々おじさんが着てたスーツはおじさんの表情が丸わかりなのに対して、この物語中で主に着ている新スーツは、表情が全くわからない。これはバニーちゃんに関してもそうですけど、表情がわからないせいで、却って表情を透かして見ようとしてしまうんですよね。明示的に表現されていないけれど、土台がしっかり提示されているから、妄想しやすく、妄想してしまう。

こういう状況になったときまずいのは、その妄想上のおじさんがその後提示されるおじさんと乖離しているようなケースですけど、タイバニに関して言えばそんなことは全く無かった。妄想しやすい、というのは、(丁寧に作られていれば)作者によって意図的に方向づけられた妄想を実行させられているということなので、上手いこと乗せられたっつーことなんでしょうねえ。すごく同期しやすいし、気持ちよかった。

ただ、こんな感じであっという間におじさんに同期したりおじさんのことばっかり考えて観てたせいで、最初にいったように後半はすんごく観てて痛かったです。ちなみに、前半13話でバニーちゃんの問題が一段落して、14話でOPが変わってルナティックがバーンと出たときに、後半はたぶんおじさんメインの話でおじさんの「ヒーロー」とルナティックの「正義」の対比で展開するんだろうなーと予想しておりました。が、結局おじさんメインという部分以外は大外れということで…。まあこの辺はルナティック出した時点で直接的に描かなければならないものなんで、劇場版(2012.09.22公開!もうすぐじゃねえか!)に期待したいと思います。

話戻すと、おじさんの能力が減退してることが判明したあたりからはおじさんがひどい目に合うんじゃねえかっていう嫌な予感がずっとつきまとってました。おじさんが嵌められて、ヒーロー達に追われる側になるのとか、見せ方も相まって、それまで無自覚に受け入れていたヒーローvs悪人って構図に対する批判として優れてはいるんだけれど、これだけおじさんが好きになってしまっているとそんな優秀さはどーでも良くて、おじさんがひどい目にあってんのが、単純に腹立つだけです。イライライライラしながら観てましたね…。

20話あたりはほとんどブチ切れそうになっていて、この辺はもう鑑賞態度として好きではないのだけど、ある程度距離を置いて製作者への信頼みたいなもんでなんとか見続けてるという状況でした。「フラストレーションためさせるの、本当に上手いけどさっさとやめろ」って思いながら。

まあでも上手いんですよ。23話とかさあ、限界まで苛立ちを溜めさせられて爆発しそうになったまさにその瞬間にバニーちゃんが「二度とワイルドタイガーの名を汚すな」って言ったりする。時間を制御できるメディアで、間をぴったり合わせてきてくれた。凄い。

そんで最終話にはきっちり安心させてくれた。おじさんが「ふつうに」生きている姿をみせてくれることで。

凄いアニメです。あと、おじさん大好き!(だから字面…)


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細かい話をいくつか。23話は少しおじさんが超人に感じられてしまって入り込めませんでした。こんだけ惚れているわけで「敵わない」って圧倒されるシーンはいくつかあったんですけど、それは超人に圧倒されたわけではなく、とあるおじさんに圧倒されたわけで。

それと、ヒーローというものの描写も良かった。ここで言うヒーローってのはおじさん(彼は物語によって肯定されている)のことですが、彼は彼が思うところの「ヒーロー」であろうとする意思を持ち行動し続けたし、し続けている。その態度をヒーローと呼ぶんだ、というヒーロー描写。行為に後付けしてヒーローと呼ぶような、犠牲と何が違うのかわからないようなヒーロー描写とは違う。これについても好印象です。劇場版とかでルナティックとの対決あればこの辺詳しく描いてくれるんだろうなあ…観たい…。

最後にちょっともったいないなと思ったのは、俺がヘテロ男なせいでバニーちゃんを直接舐め回して楽しむことができなかったことです。一旦脳内変換しないといけない。ああもったいない。早くめんどくさいおんにゃのこを探す旅に出ないとダメですね…。

こんなとこかな。BD買おーっと。